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最大の信託銀行誕生へ

今日の相場で注目されたのが住友信託銀行<8403>であろう。本日ザラ場中に日本経済新聞が、住友信託銀行<8403>と中央三井トラスト・グループ<8309>が2011年春をめどに経営統合する方向で協議入りしたことを報道。両社の株価は報道と同時に急騰。東京証券取引所では、事実関係の確認ができないとして、売買停止措置を行い、売買停止のまま引けた。

引け後には産経、朝日など主要報道機関も報道。「現段階で決まっている事実は無い」と両行は言うものの、合併に向けて動き出していることが分かった。関係者によると、住友信託と中央三井信託の持株会社である中央三井トラストHDは、2011年春をメドに株式を交換し、新しい持株会社を設立。その上で、持株会社の傘下となる2つの信託銀行が合併する案が有力とのことだ。

統合すれば資金量で国内信託銀行では当然首位。銀行グループとしては3大メガバンクとりそなグループに次いで5位となる。

たしかに、いずれは統合するのではという予想はあった。

もともと、住友信託にはメガ信託構想というものがあった。三菱UFJ信託銀行というメガ信託の出現によりトップの座を奪われたことから、業務拡大方向の経営方針は明確だった。

そもそも、2004年にUFJホールディングスからUFJ信託銀行を買収するという計画があった。だが、UFJは三菱東京FGとの合併の道を選び、合併は白紙撤回され、UFJ信託銀行の合併差し止めから三菱UFJFGへの損害賠償へと、裁判にまで持っていって争ったという過去がある。東京高裁まで争いは続き、2006年11月に三菱UFJが25億円の和解金を支払うことで和解した。

UFJ信託銀行の買収計画が頓挫したあとも、2004年には三井トラスト・ホールディングスとの経営統合交渉を開始。経営統合寸前まで行ったが、合併比率で合意に至らなかったため頓挫した。しかし、信託銀行はスケールメリットが生かされる業界であるため、「いずれ統合するのでは」という予想は誰もが持っていた。

信託銀行には、特有のスケールメリットが存在する。国内最大級の資産運用マネージャーとして、住友信託は企業年金、公的機関、非営利法人などさまざまな資金運用を行っている。大口融資先のアイフルと事業展開をしたかと思えば、SBIホールディングスと合弁し、住信SBIネット銀行を開いたり、記憶に新しいところでは、日興アセットマネジメントを完全子会社化するなど多角化にも積極的だ。

資産運用を行う上で、運用資産の額と有能なファンドマネージャーの数は大きいに越したことはない。現在の住友信託の日興アセットの運用資産は買収により、10兆円規模。野村セットマネジメントや大和証券投資信託委託ら大手の一角に食い込んでいる。

さらに、住友信託の特徴として年金部門での高い運用能力がある。信託業界でも群を抜いており、年金運用などを含む住友信託グループ全体の運用資産残高は約35兆円と国内最大規模である。2009年3月期決算ではメガバンクが最終赤字に苦しむなかで、りそなホールディングスとともに黒字を確保。健全性、堅実経営を誇示した。

本日もドイツ証券が銀行セクターを新規カバ-しているが、3大メガバンクのほか、りそななどを「ホールド」としたのに対して、住友信託銀行<8403>は新規「バイ」でカバー。

米国で金融株が安くなっていたことで前場には株価には反映されていなかったが、ドイツ証券では、銀行のセクターの投資判断は「アンダーウエート」。株価は、予想される3メガバンクによる増資をある程度織り込んだ水準にあると判断。今期は黒字決算が見込まれるため現状からの大幅な下落リスクは小さいものの、黒字とはいえ収益の回復力が弱く、アップサイドも見込みづらいと想定。株価は、今年に入ってからの高値と安値の間でボックス圏で推移するが、市場平均との比較では、当面、アンダーパフォームが続くと予想していた。

そのなかで、住友信託<8403>に関しては、銀行本体の収益、財務の安定性に加え、連結子会社からの収益寄与増加が期待されるとして、唯一「バイ」の投資判断を行ったのである。

三井トラストとの合併計画から4年。あのときの時価比率は、三井トラスト1に対して、住友信託が0.6だった。現在の時価総額は、住友信託の8375億に対して、中央三井トラストは6086億。しかも、中央三井に入っている約2000億円の公的資金については「統合前の返済を目指す」という。この統合によって、恩恵を受けるのはどちらなのか、自ずと明らかではないだろうか。

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