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日本市場が盛り上がらない理由

米国でダウが1万ドルの大台を突破しても、日本の株式市場はいまひとつ盛り上がらない。6日(金)の株価は、日経平均こそプラスで終わったが、TOPIX はマイナスで引けている。10月6日を底として、11月5日を2つめの底とするダブルボトムを意識したいところであるが、チャート的にも非常に不安定な感じが否めない。25日線は下向きに転じ、25日ボリンジャーバンド、マイナス1σのレンジを脱せないでいる。10月安値の時も今週の下げも、日経平均は窓を空けて下落しており、改めて株式市場では、上昇するのは緩やかなカーブを描くのに対して、下落するときは垂直に近い角度で急降下するものだと見せつけられた形である。

別に材料があって下落したわけではないというのが性質が悪い。米国の株安に引きずられる形で下げたのはいいが、米国が回復しても日本の株は買いづらい…… という意識が海外の機関投資家に根強く残っていることが問題なのである。その要因のひとつが、6日、日本経済新聞が報じたような邦銀の増資観測である。

これは、本文で何度も指摘してきたことで、9月も野村證券が行った大規模な公募増資の要因として指摘してきたことだが、前回ピッツバーグで行われたG20金融サミットでほぼ合意がなされた、新BIS規制による増資懸念がいまだに根強く燻っているのである。

G20金融サミットの合意内容をもう一度指摘しておくと、銀行経営の健全性の目安になる自己資本規制の強化を義務化。2012年末までを目標に導入するという合意がなされている。銀行に財務基盤の強化を促し、金融危機の再発や経済の動揺を防ぎたいという狙いから、銀行資本の「質」と「量」を高めようというのである。

自己資本比率を高めなければならないというのはいいのだが、国際決済銀行(BIS)総裁会議では、金融機関が持たなければならない中核的自己資本は、「普通株と内部留保に限る」としており、自己資本のすべての項目を完全に開示することが盛り込まれている。これが「新BIS規制の導入」である。

つまり、自己資本の「質」を重視しているのである。メガバンクがこれまで大量に発行してきた優先株による資本調達は、「中核的自己資本に含めない」という方向で合意がなされている。日米欧などの銀行監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会によれば、優先株や優先出資証券は原則として新基準に当てはめることができなくなる。あくまでも、資本としての質が高いとされる普通株と内部留保を足し合わせた自己資本が一定水準を上回るということが求められているのだ。

これらは、去る9月5日にロンドンで行われたG20財務相・中央銀行総裁会議での合意に沿ったものであり、いきなり突然飛び出てきた話ではない。具体的な数値目標すらまだ無いので何とも言えないのだが、野村證券が増資を行った理由として、2009年3月期の自己資本比率を野村證券がバーゼル銀行監督委員会が定める基準で自主的に算出した数値では18.1%だったという説明がされている。

ということは、少なくともそれ以上の「量」と「質」の両面での自己資本比率の強化が求められるということになり、野村證券とメガバンク3行を比べると、増資を行わざるを得ないのでは……という推測は成り立つ。

しかし、繰り返すがこれは今降って沸いて出た話ではない。11月6日に日本経済新聞朝刊が改めて報じただけであり、投資家の間ではもうかなり前から織り込まれている話である。現に、本文中でも増資懸念がある以上、メガバンクは買われづらいと言い続けてきたではないか。

だが、メガバンクに関しては日本航空の再建問題もあって、必要以上に売り込まれてきたという背景もある。返済猶予法案というやっかいな代物も抱え込まされたという背景もあった。しかし、返済猶予法案も骨抜きになり、日本航空の再建も国税を注入するということで決着が付きそうだ。

それでも、銀行株は勧めづらい。信用の売り残は増えてきたとはいえ、機関投資家が逃げたあとに残された個人投資家が信用買いを進めてきたからだ。三菱UFJの信用の貸借倍率7.25倍にまで膨れ上がっている。

ただし、これだけ増資観測がなされていていることから、増資による一時的は1株の希薄化と株価下落はある程度織り込んできたと思われる。NECの大型公募増資もアク抜けとなり、株価は大幅高となった。

東京証券取引所が6日発表した10月(5~30日)の投資部門別売買動向をみても、東京、大阪、名古屋3市場の1・2部合計で、外国人投資家は2カ月ぶりに日本株を買い越した。買越額は7302億円。9月は1242億円の売り越しだっただけに、これは大きな変化だと言えるだろう。

もう、ここまで来れば増資→1株価値の希薄化→ショック安ということにはならない可能性が高い。一時的に下げる場面もあるかもしれないが、アク抜けになって、本格反騰へと向かう材料に捉えられるだろう。金融株が安定すれば、不動産なども安定し、自動車などの他の産業にもポジティブな材料となる。

野村證券の大型公募増資のときに、ゴールドマンサックス証券は、「増資目的は防御ではなく攻撃」であると評価した経緯もある。日興シティやメリルリンチが「想定外の増資」として「売り」スタンスに変えたのに対して、ゴールドマンサックスが評価するレポートを発表する一方で、大和総研では「押し目買い」のスタンスを取っていた。現在の野村證券の株価を見れば、どちらが正解だったのか、自明の理ではないだろうか。

たしかに、金融株……それもメガバンクは買いづらい。公募増資を仕掛けるタイミングを計っていると思われるが、株価が低迷しているなかで公募増資を行ったところで調達金額が満たないということになりかねない。株価がある程度リバウンドしたところで、改めて公募増資を……という思惑であろう。

そのときに、株価は一時的にはショック安になるかもしれない。ただし、今の株価には増資による希薄化懸念は相当に織り込まれているのは確かだ。メガバンクが公募増資を行い、売りが殺到し、信用貸借倍率が改善したところが、絶好の買い場とも言えるだろう。

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